連載タイトル・LDE誕生秘話

第3回:恐怖のインターホンと「0.2秒」の操舵室

理論を胸に抱いて社会に出た私が、最初に直面した現実はあまりに過酷なものでした。

配属されたのは、私が人生で最も苦手とする「保険の営業」だったのです。

見知らぬ人の家のインターホンを押す。

ただそれだけのことが、当時の私には絶望的な恐怖でした。

しかし、そこで私を支えたのは、大学で学んだフランクルの教えでした。

「これは、フランクルの理論を実践で証明せよという人生からの問いなのだ」と。

「最後の0.2秒」という自由

ここでLDEの核心的な概念が登場します。

生理学者ベンジャミン・リベットは、人間が動こうとする0.5秒前に脳が準備を始めるが、実行する直前の「0.2秒」だけは、その動作を制止(Veto)できることを突き止めました。

指がすくむのは脳の自動的な「反応」です。

しかし、その直後の0.2秒に、人間的な「応答」を選び直すための「操舵室」が存在します。

このわずかな「メタ認知的自由」こそが、運命に抗うための唯一の武器でした。

「逆説的ユーモア志向」の誕生

私は、フランクルの「逆説志向」と「ユーモア」を統合し、自分なりの技法を編み出しました。

名付けて、「逆説的ユーモア志向」です。

インターホンの前で、私は自分にこう言い聞かせました。

「昨日20回断られたから、今日は36.475回断られよう!」

普通なら「断られたくない」と願うところを、あえて「断られに行く」という逆説的な目標を立て、さらに小数点以下の数字を細かく設定するユーモアを加える。

すると、あんなに重かった指が不思議と軽くなり、笑顔で玄関に入ることができたのです。

「ダメで元々」の勇気

産業心理学の教授から、学んだのはフランクルの次元的存在論のほかに、「アトキンソンの達成動機理論」ありました。

これはLDEにおける「50%行動原理」(50%の勇気)の基礎となるものでした。

人間は「五分五分」「一か八か」「ダメで元々」の時が、一番人間の「モチベーション」が上がるという理論でした。

私はいつも、営業周りの時には「ダメで元々」と自分の言い聞かせて営業に臨んでいました。

次回予告:1%の魔法 — 聴くだけで生まれた「奇跡」

断られることを目標にして歩き始めた私に、予期せぬ変化が起こり始めます。

保険の話を一言もしないのに、なぜか契約が取れてしまう。

次回、巨大な理想を今日の一歩へ変える「1%当為変圧」の驚くべき効果をお話しします。

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